
今年は桜の開花がとてもはやいですね。
3月は和名で「弥生」。
そのほか「桜月」、「花見月」などの呼び名があり、まさに桜の季節です。
桜は見て楽しむだけではなく、花は桜湯、実はサクランボ。
そして、葉は塩漬けにして桜餅として食べて楽しむことができます。
そのほか樹皮を使った桜皮細工は秋田の工芸品としても有名ですね。
桜餅の葉は塩漬けにして利用しますが、桜餅の持ち味である独特の香りがしますよね?
抗酸化作用や抗菌作用があるクマリンという成分によるもので、塩蔵中に生葉の成分が分解されて出来たポリフェノールの1種なのです。
桜には薬としての重要な用途があるのをご存知でしょうか。
樹皮はオウヒ(桜皮)といい、ヤマザクラなどの皮のエキスは咳止めに使われています。
樹皮に含まれる成分はサクラニン、サクラネチンなどフラボノイドと呼ばれる物質で、こちらもポリフェノールの仲間です。
漢方薬としての一面では、化膿性皮膚疾患などの効能をもつ「十味敗毒湯」の原料として、一部配合されています。
「十味敗毒湯」は江戸時代の医師華岡青洲が中国の処方を応用して日本人向けに創った薬です。
その他民間療法としては、解毒、湿疹、蕁麻疹などに樹皮を煎じて服用したり、シャックリや二日酔いに樹皮を黒焼きにして服用したりします。
また、入浴剤として、打ち身・捻挫などには消炎作用を利用して、樹皮を布袋に入れて煮だし、その液ごと使用したりします。
桜は古代から春の花として歌に詠まれ、日本人に愛でられてきました。
一瞬の美しさを誇り散ってしまう桜ですが、私たちのくらしに役立っていると思うと、桜を見る目が少し変わってきませんか?
株式会社あさひ薬局 薬剤師 H.A